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教育の本質を読む|戸倉の本棚|堺市北花田の学習塾・戸倉塾

戸倉の本棚04_13歳から鍛える具体と抽象

■この子は要領が悪い?

「この子は要領が悪い」と感じたとき、私は一度立ち止まって考えるようにしている。
その「要領の悪さ」は、単なる不器用さではなく、「抽象化の力」が弱いだけかもしれないからだ。

例えば、似たような問題を毎回最初から解き直す子がいる。
一問一問には真面目に取り組むが、「こういうときはこう考える」という共通パターンを見出すことができない。
つまり、具体から抽象へと抜き出す力が育っていないのだ。
この力が弱いと、何をするにも「初めて」のように感じてしまい、学習も生活も効率が悪くなる。

本書『13歳から鍛える 具体と抽象』は、まさにこの抽象化の力をやさしく、しかし確実に身につけさせてくれる。
犬やりんごといった身近な具体例から、「哺乳類」「果物」といった抽象へと階段をのぼるプロセスを、イラスト付きで示してくれるのが大きな特長だ。

抽象化とは、「いろいろなものに共通する“型”を見つけること」。
それができれば、どんな場面でも応用が利くようになる。
これが「要領のよさ」の正体である。

私もこの本を読んで、「子どもに教えるべきは“正解”ではなく、“型の見つけ方”だ」と改めて感じた。
これは、成績や試験対策のためだけの話ではない。
社会に出てからも必要な、思考の土台となる力である。

中学生はもちろん、小学生の保護者や教育関係者にとっても、多くのヒントが詰まった一冊だ。
むしろ大人が読んでこそ、「自分がどれだけ具体にとらわれていたか」に気づけるはずだ。

■参考文献

『13歳から鍛える 具体と抽象』 細谷功/東洋経済新報社/2022年


■過去の記事

▶01シン読解力 新井紀子著
▶02スマホ脳 アンデシュ・ハンセン著
▶03子どもは話し方で9割変わる 福田健著

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